肝っ玉母さんうさぎの話〜写真集「うさぎの国へ スコットランドのアナウサギ」より。 Vol.5

Category : うさぎ
のらうさぎが人を恐れるということは
「ピーターラビットの絵本」で既に実証されている(笑)

近づいては来ないが、
何とかお願いして近づかせてもらえる事はVol.3にて少しふれた。

それでも何か「危ない」と思った時は、
だいたい大人のうさぎが先に、子供をほっといて逃げ出し、
子供のうさぎはそれでも遊んでいたり、草を食べていたりする。
人生経験の差なのか、
大人のうさぎは、人がとても危ないことをよく知っている。

しかし、だからといっていつもそのように動くとは限らない。
写真のうさぎがそうだった。

冷たい雨の中、他のうさぎが穴に篭っている時
この方だけ、マイペースで草を食べていた。
時には僕の方へとじりじり近くなり、じっとこちらを見たり。
その後、子供達がまとわりつき始めてお乳をねだっていたので、
母とわかった。
あんまりしつこく乳をねだる子供達に母が根負けしたのか、
授乳をし始めた。
あろうことか僕の目の前5メートル先で。
(写真集の最後の方のコラムにその時の写真があります)

しばらくすると子供達がヨチヨチと乳房を押さえているにもかかわらず母は動き出し、逃げるでもなくまた草を食べ始めた。
僕の周りで。

彼女の左耳は少し欠けていた。
喧嘩したのか、天敵に襲われ、逃げたのか。引っ掛けたのか。

僕をじっと見る眼。
今まで見てきた大人うさぎとは違う、あまりにも肝の据わった態度に、僕は月並みながら「肝っ玉母さん」と名付けた。

日を変えて訪ねてみても、やっぱり母さんはマイペース。
逃げるでもなく、近づくでもなく、草を食べる。

なかなかのらうさぎの個々体を認識することは難しいが
次の年に訪ねた時も母さんだけはすぐに分かった。
特徴のある耳、
そして、相変わらずマイペース。

のらうさぎは寿命が短いと聞いたことがある。
だから、年を超えて再会できたことはとても嬉しかった。
今年も生きていたのだと。

のらうさぎに近づくことを一つの目標にしてた頃、
友人のScottish SPCAのinspectorが
「それはうさぎのinstinctive behavior(本能行動)だ」と言った。
つまり、受け入れてもらったんだよと。

旅のさなかの異国で、現地の人に声をかけられたりすると、
とても嬉しいものだが、
うさぎに受け入れて頂けたのだと思うと、
何か、遠い異国に友人が出来たようで、嬉しくなってしまう。
だから、次の年も会いに行きたくなるのだ。



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「うさぎの国へ
 スコットランドのアナウサギ」
(メディアイランド刊)発売中
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