ドイツ取材日誌 その2 ベルリン・フィルハーモニー

Category : 日記
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EOS 5Dmark2, Tamron28-75mm ©Shohee Murakawa.


ベルリン。
フィルハーモニーにはすでに多くの人が並んでいた。
今夜のプログラム「クリスティアン・ティーレマン指揮、ベルリンフィル演奏、ブルックナー交響曲第4番」の為に、チケット売り場へ向かった。

人気プログラムらしい。
コーディネイトN氏が
「ティーレマンですか。これはいいプログラムですよ。ラッキーですよ、村川さん」と言った。
僕はブルックナーの名前以外には何も知らなかった。
ジャンル問わず音楽は好きなのだが、クラシックにはあまり詳しくはなかった。
「音遊人」の取材の度に少しずつ勉強している。

席はなんと舞台上の奥!
舞台の奥には合唱団が歌う時の為の長椅子が並べてあるが、
合唱団が入らない時はここを客席として開放するらしい。
僕は「オーケストラのすぐ後ろ、しかも安い(15ユーロ)特等席やがな!」と喜んだが(ちなみにS席は150ユーロ!)
問題が2つ。
コンサートが始まって客席が暗くなってもこの席は舞台の照明がかするからどの席からもよく見える。
居眠りなんてしようものなら・・・
加えて音楽的には、ティンパニーや管楽器など大きな音の楽器に近く、全体の音のバランスを考えればあまり良くないとの事。
しかし、開演のときにはこの席の事を知る地元の人々や、留学生らしい日本人も多く見られた。
ちなみにチケット売り場にはこの席に関して何の表示も出ていない。

音楽が始まると、初めて聴く曲ながら、ますます興奮した。
音のバランスとしては良くないかもしれないが、あちこちの方向からいろんな音がやってきて
とても楽しい!
コンサートホールの設計とか詳しくはわからないが(東京のサントリーホールが設計時の参考にしたらしい)
個々の楽器の音色もクリアーに聞き分けられて、美味しい音でいっぱい。
楽曲は「ドイツ人が好きそうな曲」らしいが、繊細な音色が徐々に徐々に積み重なり、やがて重厚な音色となる感じが心を高揚させた。なんか緩やかな山に向かっていつの間にか登りきって、また知らぬうちに山を降り、またまた登ってる。そんな感じ(あ、わかんないですね)。

とても長い曲(約一時間)だが、その間指揮を続ける指揮者。
今回のコンサートはブルックナー4番もさる事ながら、指揮者のティーレマン氏の指揮の様子が一番印象に残ってる。
特にバイオリンの出だしの音を指示する時(だったかな)、繊細な音を出して欲しいのかわからないが
両手の平を下に向け、「おさえて、おさえて」の様な手振りをし、
さらに繊細な音色の時は演奏者に向かって目配せしながらてのひらを自分の口に当て
「もっと静かな感じ」という様な仕草をしていた。とても上品な人の振る舞いの様に。
僕にはその様子が、この人は指揮者という仕事以前にとてもデリケートな方の様に思えた。
でも、そんなデリケートな仕草と同時に、次に出て来るホルンに対してさりげに目配せをしているあたりに
プロとしての力と同時に、場の隅々にまで眼の行き届く、高い美意識を持つ方なのだろうと思った。
全体にエネルギッシュにタクトを振るというより、とてもスマートに指揮している印象。
内に秘める情熱をタクトと手振りを通じて翻訳して伝えてる様な感じ(あ、もっとわからないですね)
この日の夜にここで過ごせた事はとてもラッキーだったと思う。

僕は彼の事も、ブルックナーも全然よく知らなかったけど、優れた音楽は一瞬でとりこにしてしまう力があるのだと思い知らされた。
にもかかわらず、終盤一瞬「コクリ・・・」
となってしまったのは、長旅のつかれと、音楽の心地よさと思いたい。

帰国してあれから2ヶ月経ち、僕はすっかりブルックナーばかり聴いている。
すぐかぶれるのが僕の悪いクセだが、
またすぐ、ベルリン・フィルハーモニーに行くのは無理でも、日々の楽しみを増やすきっかけになった事は確かだ。
ティーレマンでも、ライブでもないけど
日々ブルックナーを聴く事が楽しみでしようがない。
でも、また機会があればティーレマンの指揮で聴いてみたい。

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EOS 5Dmark2, EF16-35mm ©Shohee Murakawa.
フィルハーモニーの中。ヨーロッパの古いホールによくあるホールと異なり、
多くの直線が構成する複雑な作り。なんか数学的。
画面左側に長椅子が並んである。
「音遊人」2012年6月号掲載





 

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